ファンダム心理を絶妙に言語化した作品「イン・ザ・メガチャーチ」レビュー【★3.9】

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こんにちは。mochioです。

朝井リョウの新作、「イン・ザ・メガチャーチ」を読みましたので、本の感想とおすすめ度を書いていきます。

目次

イン・ザ・メガチャーチの概略

あらすじ

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

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メガチャーチとは

メガチャーチ

毎週の礼拝に2,000人以上が集まる大規模なプロテスタント教会

を指し、現代的な手法で信者を集め、コンサートのような大規模な礼拝や、託児所・医療サービスなどのコミュニティ機能も提供します。特にアメリカで多く見られ、カリスマ牧師が運営し、若年層にも支持され、社会奉仕活動も活発で、現代社会における「居場所」の提供という側面も持ち合わせています

現代のアイドルの推し活文化をアメリカのメガチャーチになぞらえて解説したような小説です。

おすすめ度は★3.9

イン・ザ・メガチャーチ」のおすすめ度は★3.9です。

おすすめ度は以下の基準で決めています。

おすすめ度の基準

絶対に読め

優先的に読め

時間があれば読め

読まなくてもよい

時間の無駄

私の主観で考えているため、面白い本が★5とは限りません。

mochio

人が死ぬ描写のある作品は苦手なので、面白くても★は低くなってしまいます。

\詳しくはこちら!/

朝井リョウさんの作品を読むたびに、よくこんなテーマを解像度高く小説にしているなぁと毎回毎回感心させられる。

感想を述べよと言われましても、私の言語可能力が低いから、的を得た感想を述べられないのが実に心苦しい。

いつも朝井リョウさんの作品を読むたびに、感想となる言葉が出てこなくて困るよ。

読み始め「これ”推し、燃ゆ”だ」→けど違った

読み始めに思ったことは、「あ。これ「推し、燃ゆ」だ。」でした。

『推し、燃ゆ』とは

宇佐見りん作の小説で、2020年芥川賞を受賞した作品。

アイドルを「推す(応援する)」女子高生の日常が、推しのアイドルが起こした事件(ファンへの暴行)による「炎上」で揺れ動き、心の支えを失う葛藤を描いた作品

けど「イン・ザ・メガチャーチ」はさらに話を広げ、アイドルを応援するする人・アイドルの運営側の人・推しのアイドルを失った人のそれぞれの物語であり、現代の推し活文化の全体の渦を書いた作品でした。

推し活文化の中の渦

この本では「視野を狭める」「視野を広げる」という言葉がたくさんが出てきます。

視野を広げる

自分の身の回りのものを俯瞰して見渡す

視野を狭める

自分の信じることに没頭する

あらゆる選択肢を手に入れることができる自由度があるからこそ、都合の良い物語により視野を狭めて自分を消費させていく。

メガチャーチ(小説中の推し活文化)の中では結局この繰り返しであり、堂々巡り。

この渦の中に入っていく気質のあるひとはこういうロジックで入っていきますよってのを解説しているような気がしています。

知らなくてもいいことを知った気になった本

イン・ザ・メガチャーチを読了後最初に思ったこととしては

自分にはあんまし関係ないな。
知らなくてもいいことを知った気分。

でした。

私の人生このままある程度視野を狭めて暮らしていった方が幸せなんだろうなと思う。

よかったセリフ

一の情報から十の感情を受け取り、自分の人生に引き寄せて百の物語を生み出す。そして、その物語に自分以外の人間を巻き込むべく、千の布教に励む
イン・ザ・メガチャーチ

信徒気質のオタクを表した表現。視野が狭まったオタクは自分に都合のよい物語を作ることを説明しています。

結局誰だって、信じる物語を決めて生きているだけだ。それが世界平和だったり自己啓発だったり陰謀論だったりするだけで、皆各々のドラッグで自分の脳を溶かしながら死ぬまで生きているだけだ。
どうせ全部ドラッグではあるんだから、正しいとかおかしいとか素晴らしいとか真っ当じゃないとか、そういう論争は無意味でしかない。
イン・ザ・メガチャーチ

自分にとって都合のいい物語を選択してい生きていることを表したセリフ。

正しいとかじゃない。有りあまる選択肢の中で、自分を消費させていることを説明しています。

読書メーターにいい感想をみつけた

ぜんぜん仲良くもないけど悪くもない子が学校を休んだ時にプリントを届けてあげようっていう妙な行動力が湧き上がってくるときがあって本当にそういうとき別に何も起こらないばかりか「あ、はい」で終わればまだましで境界線を踏み越えましたって言われたらアウトの世の中 たまに衝動にかられすぎる 別に何もしてないけどすみませんでしたという気持ちになる ごめんなさい
https://bookmeter.com/users/1475268

確かに!ってなった。

プリントを届けてあげるときって、自分はやってあげているという使命感とかいいことしてるみたいな感じになっているけど、休んだ本人って、その日は誰にも会いたくなかったりするわけで、自分が作った物語に陶酔してるようなぁってなった。いい例えだ。

イン・ザ・メガチャーチの感想まとめ

感想をまとめます。

ストーリー、構成、世界観の魅力
キャラクターの深さ
文体・文章の質
テーマ・メッセージの深さ
感情への影響

以上より、おすすめ度は★3.9です。

女性だったり、推し活に何らかの接点がある人におすすめの本でした。

以上!mochioでした!

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